写真が数枚しかなくても自分史動画は作れる — 素材が少ないときの組み立て方

写真はイメージです
実家の押し入れを探しても、出てきた写真は子どもの頃の一枚と、結婚式の一枚、あとは数枚だけ。戦後の引っ越しの途中で、アルバムごと失ったと聞いたことがある。自分史動画を作りたいと思ったのに、これでは映像にならないのでは、と手が止まります。
結論から言えば、写真が数枚しかなくても自分史動画は成り立ちます。写真は素材の一つにすぎず、映像の軸になるのは語りだからです。
写真が数枚しかなくても、一本の映像になりますか?
なります。映像の長さは、写真の枚数では決まりません。
一枚の写真に、本人の語りを重ねてみてください。その日の天気、写っていない誰かのこと、撮られたときの気持ち。語りが入ると、一枚の写真は章の入口になり、ゆっくり見せるだけで場面が一つできあがります。写真が多い映像は、むしろ1枚あたりの時間が短くなり、流れていくだけになることもあります。
全体の長さをどう考えるかは、自分史動画・終活ムービーの長さの目安も参考になります。枚数を数えるより先に、語りたい場面がいくつあるかを数えてみるのが近道です。
写真以外に、何を素材にできますか?
写真がなくても、時代の手触りを伝えられるものは意外に残っています。次のように、役割で分けて考えると探しやすくなります。
| 素材 | 例 | 映像での役割 |
|---|---|---|
| 地図 | 生まれた町、引っ越し先、通った学校の場所 | 時間と場所の移り変わりを見せる |
| ものの写真 | 使い込んだ道具、手紙、お守り、着物 | 写真の代わりに、その時代の手触りを伝える |
| 場所の今 | 生家のあった辺り、通学路、駅 | 今の景色を入口に、当時を語り出す |
| 書き物 | 通知表、年賀状、手帳の文字 | 本人の字で人柄を伝える |
| 語り | 声、言葉の間、表情 | 映像全体の軸になる |
表の中で、いちばん力を持つのは最後の行です。ほかの素材は、語りを支える背景だと考えると組み立てやすくなります。なお、場所の撮影では、写り込む方や施設への配慮が必要です。
素材が少ない人ほど向く構成は?
時代ごとに「一つの場面」だけを選ぶ構成です。
幼い頃はこの町の地図、働き始めた頃は手に馴染んだ道具、大切な人と過ごした頃は一通の手紙、というように、時代ごとに素材を一つ決めます。そこへ、その時代の一番の思い出を語りで重ねます。素材が少ないぶん、一つ一つに時間をかけられるのが強みです。
何を語るかは、事前に質問を準備しておくと進めやすくなります。インタビュー準備の質問リストに、時代別に聞いておきたいことをまとめています。
写真がない時期は、空白のままでいいですか?
無理に埋めなくて構いません。むしろ、埋めようとして別の画像を当てると、その映像が本当の記録ではなくなってしまいます。他の人の写真やフリー素材で時代を装うのは避けたいところです。
代わりに、写真がないこと自体を語ってみてください。引っ越しのとき何を持って出られたのか、何を手放したのか。アルバムを失った経緯は、その世代の人生の一部です。
もう一つ試したいのが、周りに聞いてみることです。親戚や古い友人が、一枚持っているかもしれません。写真ではなく、古いフィルムやビデオが見つかる場合もあります。その場合は8mmフィルムとVHSのデジタル化の記事が手段選びの参考になります。
依頼するとき、写真の少なさは気にすべきですか?
依頼先を選ぶときは、素材が少ない状態で相談できるかを、最初に聞いておくと安心です。確認したい質問は自分史動画の制作会社の選び方にまとめています。
LIFE STORYは、人生を聞くインタビューから始める終活映像サービスです。話すだけで、その人の声・表情・人生の物語が映像として家族に残ります。入口のSESSIONは55,000円(税込)からで、本制作に進む場合は全額が充当されます。撮影・取材はご本人の同意のうえで行います。素材がどのくらい残っているかは、相談の中で伝えてみてください。サービスの全体像は自分史動画の制作で確認できます。
押し入れの数枚から、最初の一場面を決める
押し入れから出てきた数枚の写真は、足りない証拠ではありません。その一枚ごとに、語れる場面が一つ付いています。まずは数枚を机に並べ、「これはいつ、どこで?」と聞いてみてください。最初の答えが、映像の一本目の場面になります。
よくある質問
写真が一枚もない場合でも、自分史動画は作れますか?
写真が1枚もなくても、語りを軸にすれば映像は成り立ちます。地図やものの写真、今の景色などで場面を補えます。何が残っているかを先に書き出しておくと、構成を考えやすくなります。
他の人の写真やフリー素材で、写真の代わりにしてもいいですか?
おすすめしません。本人の人生と関係のない画像を当てると、記録としての正確さが損なわれます。写真がない時期は、語りや地図、手元のものの写真で補うほうが、その人らしい映像になります。
自分で作る場合、最初に何から始めればいいですか?
まず手元にある写真・もの・書き物をすべて机に並べ、それぞれにまつわる話を録音してみてください。時代ごとに一つ素材を選ぶと、少ない素材でも流れのある構成にまとまります。

この記事の監修
中井 敦(LIFE STORYプロデューサー・TVドキュメンタリー出身)
株式会社アキグラ代表。NHK 東日本大震災復興特別番組の中継ディレクターほか、テレビ・YouTube のドキュメンタリー番組のディレクションを担当。プロフィール詳細
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務の専門的な助言ではありません。株式会社アキグラおよび執筆・監修者は、これらの分野の専門資格を有していません。個別のご判断は各分野の専門家にご相談ください。