両親・祖父母の思い出動画の作り方 — 自作スライドショーからプロ取材まで

写真はイメージです
結婚式の「生い立ちムービー」のように、古い写真をつないで音楽を乗せた思い出動画は、両親や祖父母への贈り物として人気があるようです。誕生日・長寿のお祝い・金婚式など、上映する場面を選ばないのも魅力です。このページでは、自分で作る場合の手順を最初から最後まで解説し、そのうえで「自作とプロ依頼の違い」までを整理します。
手順1: 写真を集める(ここが全体の半分)
思い出動画づくりの労力の大半は、編集ではなく素材集めです。
- 実家のアルバム・引き出し・押し入れをあたる(幼少期〜結婚前の写真は実家にしかないことが多い)
- きょうだい・親戚にも声をかけ、手元の写真を送ってもらう
- 枚数の目安は30〜60枚。5分の動画なら1枚5〜8秒で40枚前後が収まりのよい分量です
- 時代が偏らないよう「幼少期・青年期・結婚・子育て・現在」の各時期から数枚ずつ選ぶ
手順2: 写真をデジタル化する
紙の写真はスマホで撮影するだけでも使えますが、照明の映り込みと歪みが出やすいのが難点です。スキャンアプリ(Google フォトスキャナーなど)を使うと反射を除去できます。大量にある場合は、家電量販店や写真店のスキャンサービスに一括で頼む方法もあります。
手順3: 構成を決める
集めた写真を時系列に並べるだけで、構成は8割完成します。冒頭にタイトル(「お母さん古希おめでとう」など)、最後に家族からのメッセージカードを入れるのが定番の型です。ところどころに「この頃、家族でよく行った場所」のような短い字幕を挟むと、見る人の記憶が呼び起こされます。
手順4: 音楽と編集アプリ
編集はスマホの無料アプリで十分にできます(iPhoneならiMovie、AndroidならCapCutなどがよく使われているようです)。注意したいのはBGMの権利です。市販の楽曲を動画に使うには、用途によって権利処理が必要になる場合があります。迷ったら、アプリ内蔵のフリー音源や権利処理済みの音源を使うのが安全です。
アプリでの作業は、次の順に進めると迷いません。
- 新しいプロジェクトを作り、手順3で並べた順に写真を読み込む
- 1枚あたりの表示時間をそろえる(5〜8秒)。写真をゆっくり拡大・移動させる効果は、多用すると見づらいので要所だけに
- 冒頭のタイトル、時期の区切りの字幕、最後のメッセージを入れる。字幕は高齢の方にも読めるよう大きめに
- BGMを入れ、曲の終わりと動画の終わりをそろえる。語りや声が入る場面は、BGMの音量を下げる
手順5: 書き出して、試写する
編集が終わったら、動画ファイルとして書き出します。画質は「1080p(フルHD)」を選べば、テレビの大きな画面でも十分きれいに映ります。
書き出したら、上映する機器で一度通して見るのが大切です。スマホの小さな画面では気づかなかった字幕の誤字・写真のピンぼけ・音量の大小が、テレビやプロジェクターでははっきり目立ちます。できれば家族の誰かにも見てもらい、名前や年号の間違いがないか確かめてもらいましょう。
手順6: 上映して、残す
上映の方法は、場所の設備に合わせて選びます。
- 自宅のテレビ: スマホとテレビをHDMIケーブルでつなぐか、USBメモリに入れてテレビに挿す(USB再生は対応機種のみ。事前に試しておく)
- お店や会場: 予約時に「動画を流せるか」「どの形式・どの機器で持ち込めばよいか」を確認する
- 離れて暮らす家族: 動画を共有リンクで送る。ビデオ通話でつないで同時に見るのも一案です
上映が終わったら、動画ファイルを2か所以上に保存しておきます(スマホ本体だけでなく、クラウドとUSBメモリなど)。元の写真のデジタルデータも一緒に残しておけば、次の節目に作り直すときの素材になります。
自作でつまずきやすい3つのポイント
- 素材集めで力尽きる — 写真集めに数週間かかり、編集前に熱が冷めてしまう。先に「上映日」を決めて逆算するのがコツです
- 長すぎる — 思い入れのある写真を全部入れると15分超えになりがち。見る側の集中力は5分前後が目安です
- 「写真だけ」では、声が残りにくい — 完成して気づく人が多いのがこの点です。スライドショーには、その人の声と語りが入りにくいのです
「過去の写真」に「今の語り」を足すという発想
思い出動画の主役は過去の写真ですが、そこに今のご本人の姿と声を足すと、動画の性格が変わります。写真を見ながら「この写真はね——」と語る姿そのものが、何年後かに見返したとき、いちばんの宝物になるからです。スマホで写真をめくりながらの語りを撮っておくだけでも価値があります。声を残すことの意味は親の声を残すという選択肢で詳しく書いています。
プロに頼む場合 — 何が違うのか
写真スライドショーの制作代行は写真店や動画制作会社が請け負っており、こちらは「編集の手間」を代行するサービスです。一方 LIFE STORY が行うのは編集代行ではなく、取材です。テレビ番組のディレクターがご本人にインタビューし、人生の物語を「本人の声と表情」で記録した映像を制作します。古い写真は、語りを彩る素材として作品の中に組み込みます。
- 自作スライドショー: 費用を抑えられ、作る過程も贈り物になる。声や物語は残しにくい
- 編集代行: 手間を省ける。内容は写真の範囲内
- 取材型(LIFE STORY): 写真に本人の語りと人生の文脈が加わる。ご家族からの申込みでも、撮影はご本人の同意のうえで進めます
まずは自作でスライドショーを贈り、喜ばれたら次の節目に取材型を検討する——という段階の踏み方も自然です。親の人生を残す方法の全体像はこちらのガイドにまとめています。

この記事の監修
中井 敦(LIFE STORYプロデューサー・TVドキュメンタリー出身)
株式会社アキグラ代表。NHK 東日本大震災復興特別番組の中継ディレクターほか、テレビ・YouTube のドキュメンタリー番組のディレクションを担当。プロフィール詳細
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務の専門的な助言ではありません。株式会社アキグラおよび執筆・監修者は、これらの分野の専門資格を有していません。個別のご判断は各分野の専門家にご相談ください。